協会についてAbout Us

ご挨拶

日本精神分析協会会長 藤山直樹

日本精神分析協会 The Japan Psychoanalytic Society (JPS)のホームページを訪問くださいましてありがとうございます。
私は松木邦裕前会長の後を引き継いで、この協会の会長を2022年から6月から3年間務めることになりました。
私ども日本精神分析協会は、ジークムント・フロイトが創立した国際精神分析学会International Psychoanalytical Association (IPA)に加盟する精神分析家の集団です。精神分析家はフロイトがその基礎を作った精神分析という実践を日々自分の仕事としておこない、そこから得られた知見を学問的に探求しています。その精神分析家が集まってひとつの団体を作り、精神分析の発展に向けて協力しているのです。ですからこの協会はひとつの職能集団といってもよいものです。

私たちはまず、精神分析という独特の文化を引き継ぐことを重要な任務と考え、次の世代の養成に取り組んでいます。精神分析は自分自身のこころをできるだけフルに使うことによって可能になる実践ですので、精神分析家になるための訓練は訓練を受けている人自身が精神分析を受けることを含む、時間と労力のかかる過程です。私たちはその実現のため、経験のある精神分析家を教員団として日本精神分析協会インスティテュートという組織を運営し、IPAの定める国際的な規準に沿った訓練を提供しています。その組織は東京と福岡に支部を持っております。
私たちはまた、学術的な活動を国内的国際的に繰り広げてもいます。国内で学術集会を開くだけでなく、IPAに属する海外の協会とも連携して、学術集会を開催したり、海外の精神分析家とも学術交流の場を持ったりしています。そして独自の学術雑誌を電子ジャーナル“The Journal of The Japan Psychoanalytic Society”として編集発刊しております。
そして日本の社会のなかに精神分析が根づき発展することを目指して、さまざまな団体と友好的協力的な関係を維持して活動しています。そうした団体には、まず私たち自身が設立した「日本精神分析協会精神分析的精神療法家センター」があります。この組織では、私たちのインスティテュートの訓練資源を使って、より広い範囲の臨床分野で活躍できる精神分析に方向づけられたセラピストの養成がおこなわれています。また、私たちとは独立した組織ですが精神分析に関わる諸団体、たとえば、精神分析に関心を持つ多くの臨床家の団体である日本精神分析学会、精神分析の発展と広がりのために設立された小寺記念精神分析研究財団などとも、つねに友好的協力的関係が維持できるよう努力しております。 また私たちは精神分析を利用してくださるユーザーの拡大のための啓蒙活動にも取り組んでいます。市民講座的な企画を開催し、各分析家の啓蒙的な出版を応援しています。

精神分析は人間のこころをめぐるきわめて普遍的で手ごたえのある臨床と思索の体系です。人間のこころの本質的成長を助けることのできる実践であり、同時にこれまでも哲学や芸術に多くの影響を与え、それらから影響を受けてきました。それは人間にとって普遍的であるがゆえに、さまざまな多様性を包摂し、異なった考えや文化を橋掛けする力を帯びています。そうした力は国際的な視野において十全なものになりますから、私たちはIPAとそれに属する世界の協会、そして精神分析家たちと交流し、対話していくことに向けてさらに努力しようと決意しています。とりわけ、アジアのIPAと関連する協会、グループとの対話をより豊かにしようとしています。

短い挨拶でしたが、私たちの活動のあらましをお伝えできたのではないかと思います。私は3年の任期、いま書いたようなこの協会の任務がより円滑に進むよう、私なりに最大の努力をする決意です。